卒園シーズンに広がる感謝のかたち 「#これ誰にお礼言ったらいいですか」駅24箇所でお礼広告を展開
春が近づき、保育園や幼稚園では卒園の準備が進む。子どもたちの成長を喜びながらも、保護者の心の中にはさまざまな感情が去来する時期でもある。そのひとつが、日々子どもを見守ってくれた人たちへの感謝である。送り迎えの時間、何気ないやり取りの中で支えられてきた日常。しかし、その「ありがとう」は、案外うまく言葉にできないものでもある。誰に、どこまで、どう伝えればいいのか分からないまま、時間だけが過ぎていくことも少なくない。そんな行き場のない感謝の気持ちに、ひとつの形を与えようとする取り組みがある。それがパーソルホールディングスによる「#これ誰にお礼言ったらいいですか」プロジェクトだ。卒園シーズンに合わせて展開される今回の企画は、普段は表に出にくい“名もなき感謝”を社会の中にそっと可視化する試みとなっている。
名前のない仕事に光を当てるプロジェクト
「#これ誰にお礼言ったらいいですか」は、世の中にあふれる“名前も知らない誰かの仕事”に対する感謝を集め、代わりに届けるプロジェクトである。毎年、勤労感謝の日に合わせて実施されており、SNSなどを通じて寄せられた声をもとに、多くの「ありがとう」を可視化してきた。
2023年から取り組みが続けられており、2025年にはその広がりを象徴するような展示イベント「#これ誰にお礼言ったらいいですか展2025」も開催されている。全国から4,000件以上寄せられた“誰かによる仕事へのお礼”の中から、「名もなき名仕事」にまつわる実物やエピソードが紹介され、来場者が“誰かへのお礼を体験”できる場となった。イベントは5日間で1,000名以上が訪れ、さらに700件以上の新たな“お礼”が集まったという。
多く寄せられた、保育の現場への感謝
このプロジェクトの中で特に多く寄せられたのが、保育に関わる人たちへの感謝の声だったという。保育士だけでなく、調理師や看護師など、子どもを支えるさまざまな職種への「ありがとう」が集まった。日々の生活の中で当たり前のように存在しているサポートだが、その裏には多くの人の手がある。子どもを安心して預けられるからこそ、保護者は働くことができる。その前提を支えている存在に対して、改めて目が向けられた結果ともいえるだろう。見えにくい仕事だからこそ、言葉にしづらい。だからこそ、この取り組みが意味を持つのである。
全国の駅に広がる「お礼広告」
今回の企画では、そうした感謝の気持ちを形にした「お礼広告」が、全国24箇所の駅に掲出される。掲出されるのは、実際にSNS上で投稿された保護者の声をもとにしたメッセージだ。「本人に届け…!!!」や「ありがとう……ありがとう…!!!」といったシンプルで力強い言葉が、駅という公共空間に現れる。誰に向けたものか明確に示されていないからこそ、多くの人が自分ごととして受け取る余白がある。日常の延長線上にある場所で、ふと立ち止まってしまうような存在感を持つ広告となっているのである。

■屋外広告「本⼈に届け…!!!」
掲出場所:JR仙台駅、JR郡⼭駅、JR新潟駅、JR⼩倉駅、JR神⼾駅、JR垂⽔駅、JR⼤森駅、JR板橋駅、JR新⼩岩駅、JR三鷹駅、JR⽴川駅、JR川崎駅、JR平塚駅、JR浦和駅、JR千葉駅、東京メトロ⼤⼿町駅
掲出期間:2026年3⽉23⽇(⽉)〜4⽉5⽇(⽇)※掲出駅によって異なる。

■屋外広告「ありがとう……ありがとう…!!!」
掲出場所:JR秋⽥駅、名鉄名古屋駅、JR兵庫駅、東急⼤井町駅、JR⼩岩駅、JR⼋王⼦駅、JR桜⽊町駅、東京メトロ⼤⼿町駅
掲出期間:2026年3⽉23⽇(⽉)〜4⽉2⽇(⽊)※掲出駅によって異なる。
日常の中でふと出会う、感謝の瞬間
駅という場所の選び方も印象的だ。通勤や移動の途中、特別に意識しなくても目に入る場所だからこそ、広告は自然に人の視界に入り込む。忙しさの中で見過ごしてしまいがちな感情に、そっと触れるきっかけをつくる設計である。誰かの言葉として掲出された「ありがとう」は、それを見た別の誰かの記憶や体験と重なり、新たな感情を呼び起こす。広告というよりも、日常の中に置かれた“気づきの装置”のようにも感じられる。
感謝を社会に広げるという試み
本プロジェクトは、単なる広告施策にとどまらず、「はたらくWell-being」という考え方の一環として位置づけられている。働くことの裏側にある支えや関係性に目を向けることで、よりよい働き方や社会のあり方を考えるきっかけをつくる狙いがある。誰かの仕事が、別の誰かの生活を支えている。その連なりを可視化することで、感謝という感情そのものが循環していく。そんな小さな変化の積み重ねが、この取り組みの根底にあるように感じられるのである。
「#これ誰にお礼⾔ったらいいですか」プロジェクト
プロジェクトサイト:https://www.persol-group.co.jp/sustainability/well-being/thanks/
普段の生活の中で、「ありがとう」を伝える機会は意外と限られている。特に、名前も知らない誰かに対してはなおさらである。しかし、そうした見えない支えが、日々の安心や当たり前をつくっているのもまた事実だ。今回の「お礼広告」は、そのことを静かに思い出させてくれる。もしかすると、あのとき言えなかった一言や、なんとなく胸の中に残っていた感謝に、改めて気づくきっかけになるかもしれない。目の前にある言葉をきっかけに、自分なりの「ありがとう」を思い浮かべてみる。そんな時間が生まれるだけでも、この取り組みには十分な意味があるのではないだろうか。