働くも暮らすも、もっと自由に。内閣府に聞く「地方で働く」ワクワクする未来

東京一極集中の是正を目指し、内閣府が進める企業の地方分散。
ここには、大規模災害時のリスク分散や、地域経済の活性化といった社会的なメリットがあるだけでなく、そこで働く私たち一人ひとりの暮らしをより豊かに、心地よくするための鍵があります。
昨年末に公開された事例集や動画では、実際に地方へ拠点を移した企業の成果や、環境の変化をポジティブに楽しむ社員たちの姿が紹介されています。
「地方で働くことで、生活はどう変わるの?」「キャリアやウェルビーイングへの影響は?」
私たちの未来をより豊かにするヒントを探るべく、内閣府の担当者にこれまでの成果と、期待に満ちた今後の展望を詳しく伺いました。
企業の地方移転が、地域に「魅力的な職場」と「新たな人の流れ」を生み出す
地方に会社が移っていくことでのメリットは、地域経済の活性化や、災害リスクの軽減など様々あると思いますが、私たちがより身近にイメージできることではどんなことがありますか?
内閣府:東京圏への一極集中が続いている中、東京圏への転入超過の大半を占める若者や女性にも選ばれる地域をつくるためには、地域に魅力的な職場を創出するなど、地域経済の発展が不可欠と考えています。
政府では地方に良質な雇用を創出し、地方への新たな人の流れを生み出すため、本社機能の地方移転・拡充を行う企業に対して、建物の取得価額や雇用者増加数に応じた税額控除等を行う「地方拠点強化税制」により、後押しをしてきました。
例えば、事例集でも取り上げているタカラバイオ株式会社様においては、滋賀県で本社機能を拡充する中で、地域の学生たちの就職先として自社を選んでもらう機会が増えたとともに、地元で働きたいと考える学生にとっても、選択肢の一つとなっているといったお声を伺っています。
また、株式会社 BBS アウトソーシング様は、地方移転のメリットとして、次のような点を挙げています。
・東京圏では採用競争が激化し、求める人材の確保が難しかった一方、熊本市では高い能力を持ちながらも、事務職の求人不足により就職機会に恵まれていない人財が多いと感じる。
・熊本市には地元で長く働きたいと願う人財が多いと感じ、安定した雇用が期待できる。
「満員電車」から「趣味の時間」へ。地方で見つける、心豊かなライフスタイル
東京一極集中が続く中で、地方の魅力をあげるとしたらどんなことがありますか?
内閣府:地域の魅力は様々ですが、例えば事例集でも取り上げている企業の皆様からは、以下のようなお声をいただいています。
・働く場所と住む場所が近接していることで、都市部では当たり前の長時間通勤から解放され、その時間を有効活用できる。
・自然豊かな環境でアウトドアな趣味を楽しむ等、ウェルビーイングの向上につながる活動がより手軽に楽しめる。
・地域、職種によっては東京圏では人材確保が困難な場合でも、地方で長く働きたいと考える人材を確保できる場合がある。
・程よい都会らしさを保ちながら、自然豊かな環境での子育てができる。
オフィスが避難所や交流拠点に?会社の枠を超えて広がる「地方拠点」の可能性
すでに地方移転して成功した会社の具体的なストーリーがあれば教えてください。地方に拠点を置くことで、会社の文化や働き方は変わっていますか。
内閣府:例えば、アニメ制作会社である株式会社シャフト様は、静岡県への移転を通じ、学んだスキルを地元で活かしたいと考えている方々の採用につながっていることや、先輩社員から直接指導を受けられる環境を整えることができました。

また、株式会社エクレクト様は広島への本社機能移転を通じ、地域企業との取引が増え、社員同士の対話や創造的なコミュニケーションが活発化しました。さらに、登山やスポーツなどを手軽に楽しめる環境が整っていることは、社員のウェルビーイングを高め、ストレス指標の改善にもつながっており、新会社の設立等、事業の広がりも生まれています。

動画でも取り上げている株式会社ナカノアパレル様は、山形県への移転に伴い、社宅や保育所を含む総合施設を整備されました。保育所に対しては、子供の具合が悪い時にすぐに駆け付けられるので安心して働ける、仕事前に預けて帰りに一緒に帰れるので便利といった社員の反応がありました。
このほか、同社の施設では例年、「ナカノヴィレッジ夏祭り」という地元の方々も参加するイベントを開催する等、地域活性化拠点としても活用しており「地域に溶け込めてきているという実感がわいてきています。」ということです。

同じく動画で取り上げている株式会社オーイーシー様は新社屋の整備に併せて整備したオープンスぺ―スを地域住民にも開放しており、災害時には避難所として機能するほか、産官学金連携のイベントを開催したり、地元高校生や大学生を対象とした業界全体の説明会を地元企業と連携し実施しています。これらのイベントを通じて、令和7年1月末時点で高校生80名を含む延べ715名が参加しています。
日本中どこに住んでも豊かな暮らしが叶う、内閣府が描く5年後の地方創生
この先5年くらいで、“地方創生”はどんな風に変わっていくと思いますか?
内閣府:政府では「日本列島を、強く豊かに」すること、すなわち、47都道府県のどこに住んでいても、安全に生活することができて、必要な医療・福祉や質の高い教育を受けることができ、働く場所があるような日本を目指していきます。
そのために何よりも重要なことは「強い経済の構築」であり、『地域未来戦略』を推進します。
また、若者や女性が流出することが地方の課題としてある中、若者や女性にも選ばれる地方 をつくっていきます。若者が地方に残りたい、東京圏から地方に戻りたい、あるいは地方に行きたいと思えるようにすること、また地方に魅力的な学び場・働き場を整え、若者が地方で学びたい・働きたいと思える環境を実現していきたいと考えています。
さらに、「豊かな」生活環境を実現するため、日常の医療・介護サービスに不自由しない、日常の移動に不自由しない、災害時にも安心できる避難所の生活環境が確立されているといった、誰もが安心して暮らせる地方づくりを進めていきます。
働く場所の見直しで、人生をもっと豊かに
今回のお話を通じて見えてきたのは、企業の地方移転が単なる「コスト削減」や「リスク分散」だけでなく、そこで働く一人ひとりの人生を豊かにする選択肢であるということです。
満員電車からの解放、豊かな自然の中での子育て、そして地域に必要とされる喜び。内閣府が公開している事例集や動画に登場する社員の方々の生き生きとした姿は、これからの時代の「新しい働き方のスタンダード」を予感させます。
もし今の働き方に少しでも窮屈さを感じているなら、内閣府が紹介する事例を覗いてみてください。そこには、あなたがまだ知らない「ワクワクする未来」のヒントが隠れているかもしれません。
企業の地方移転・拡充と自治体支援の取組み事例集
https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/20251205/pdf/Chiho-Sohsei_2025.pdf
企業の地方移転・拡充事例
https://youtu.be/_kaKEAwHTMo?si=7YRAX7FC1P8pCRwS