レガシー社交場・スナックの“入りづらい&不明瞭”をDXで透明化! 令和のヒットメーカー手がける新サービス「スナテク」とは?

仕事を終えた一日の終わりに、あるいは旅先の夜などに訪れ、ママやマスターや馴染みの常連客と語らう場として、日本独自の癒し空間であり続けてきたスナック。しかし、ピーク時1980年代には全国に12万件あったスナックも、経営者の高齢化などで今や当時の6割ほどまでに減少し、業界全体として衰退傾向にあるのが現状だ。その古き良き文化をDXの力でアップデートして次の時代に繋げようという試みが、今回紹介するプラットフォームアプリ「スナテク」である。3月12日には東京・赤坂にある自社店舗でメディア向け発表会が行われ、本プラットフォームの目指すビジョンや機能の詳細などが紹介された。

日本のレガシー産業・スナックを次代に繋げたい

「スナテク」の仕掛け人である株式会社スナックテクノロジーズの関谷有三社長は、台湾発のカフェブランド「春水堂」を日本で展開してタピオカミルクティーブームの火付け役になったり、「WWS」ブランドを展開してワークウェアスーツを世間に定着させるなど、メディアを中心に「令和のヒットメーカー」と紹介される人物だ。

この日の事業説明の中で「20年以上の経営者人生の中で社員にも家族にも言えない孤独を唯一癒してくれたのがスナックでした」と語った同氏は、今回のビジネスを創る研究的な場として一昨年の9 月に今回の会場となったスナックをオープン。自ら経営に携わった知見を、客側、店舗側の双方に寄り添ったプラットフォームアプリの開発に繋げた。

全国の飲酒習慣がある20代から60代の男女1000人を対象に同社が行ったアンケート調査では、SNS世代の感が色濃い20・30代とその上の世代である40代との「スナックへの期待値」の比較において、「一人でも気兼ねなくお酒が飲みたい」「カラオケを歌いたい、人の歌を聴きたい」「昭和レトロな雰囲気を味わいたい」「仕事やプライベートの悩みを相談したい」という項目で前者の方が10%以上高いポイントを獲得。意外にも若年世代ほどスナックにリアルなコミュニケーションを求めているという結果が得られたそうだ。

しかし、全体の約4割の人がスナックに対して「一人で入りにくい」「システムがよく分からない」「料金トラブルが怖い」というネガティブなイメージを抱いているのも確かで、それらの調査を踏まえて関谷氏は、「スナックを未来へと繋ぐための解決策は、安心を情報で可視化をして利用意欲を高めることにヒントがあると考えた」と語る。

スナックに対する不安を解消する3つの機能

その上で開発されたスナテクの利用者向け機能は主に3つ。

このうち「店舗ナビ機能」では、スナテク加盟店を一覧で表示し、店舗の内装やママのインタビューなどを動画コンテンツで紹介。事前に店内の雰囲気が分かることで「一人では入りにくい」という心理的ハードルを下げる要因に。

一方で「来店者のリアルタイム表示」は、アプリのQRコードが会員証の役割を果たし、出勤中のスタッフと来店中の客のニックネームがリアルタイムで表示されるという仕組みで、店を訪れる誘因になるほか、店を覗かなくても混雑具合を把握することができる。また、来店を予告する「今日行くかも」「明日行くかも」ボタンも搭載し、常連やボトルキープやショットの注文数がランキング形式で見られるというユニークな機能も。

また、「決済機能」はスマホに登録済みのクレジットカードで自動決済が可能なシステムで、料金明細と領収書の確認・ダウンロードが即座に可能。これにより現金のやり取りが無くなるほか、不明瞭な会計に対する不安が解消される。

対して店舗側の導入メリットとしては、記憶に頼りがちなボトルキープの管理や会計処理のデジタル化、売上アップにつながる顧客情報の可視化、そして従来のクレジットカード決済の平均値よりも1%近く低い2.98%という低手数料モデルなどが紹介され、カラオケの業界団体と提携した営業戦略も明かされた。

スナックで投げ銭? お気に入りのママやスタッフを応援する新機能も

加えてこの日は、この翌日にローンチを迎えるスナテクの新機能「スナボム」の紹介もあった。こちらはスナックを舞台としたライブエンターテイメント機能で、ママやスタッフらにアプリから投げ銭ができるというもの。例えば、ママのカラオケが上手だった時に「ナイスソング」というボタンを押すと、店内のモニターに反応が表示される。遠隔からの投げ銭も可能で、「例えば地方のママの誕生日に、お店には行けなくても手元からギフトが送れます」と紹介した関谷氏。

ちなみにアルコールが入った状態で手軽に注文や投げ銭ができてしまうと「使い過ぎなどのトラブルのリスクもあるのでは?」と思い質問を投げかけてみたところ、関谷氏からは「注文履歴がアプリ上ですべて確認できるので、翌日になって『何をこんなに頼んだんだろう?』みたいになることはありません。これまで当店に来ていただいた4000人のお客様でもアプリでトラブルが起こったことはなく、来店の状況が透明化されることでますますそうしたリスクはなくなっていくと思っています」との回答が得られた。

なお、発表会の後半には、スナック激戦区の東京・新橋でトップクラスの人気を誇る「スナックBRIDGE」の吉田早織ママ、山形・赤湯温泉の人気スナック「ラウンジeagle」でSNS総フォロワー数10万人以上を誇る伊藤なつみママをゲストに招いたトークセッションが行われ、東京と地方のスナックのリアルやスナテクに対する期待が語られた。

「人の温かさなどスナックが持つ本来の良さを残しつつ、課題の部分をテクノロジーで解決してスナック文化を再構築し、日本の未来に火を灯していきたい」と述べた関谷氏。令和のヒットメーカーが創る新たなサービスは、日本の古き良き文化の維持だけでなく新たな層のファン獲得にも繋がっていくことだろう。