見取り図・盛山の“肥満時代写真”が語る減量と偏見の苦悩――「肥満症は治療可能」専門医が解説
「ダイエットをしてもなかなか痩せない」「減量してもすぐリバウンドしてしまう」――
もしかしたらそれは、「肥満症」という疾患かもしれません。
3月4日の「世界肥満デー」に合わせ、肥満症啓発のための『その肥満、肥満症かも?』プロジェクトの発表記者会見が都内で行われました。
医学博士による「肥満と肥満症の違い」の解説のほか、ゲストにはお笑い芸人コンビ「見取り図」のおふたりが登壇。見取り図・盛山さんの減量とリバウンドの苦悩や、周囲からの誤解などが語られました。
「太ったな」に敏感に……盛山が語る体型と葛藤

昨年、104kgから3か月で20kgの減量に成功した見取り図の盛山さん。「世界一どうでもいいグラフですが(笑)」と、これまでの体重増加遍歴を披露しました。

高校時代に100kg近くまで増えたのをきっかけに、20代には人生最大の125kgまでに達したという盛山さん。当時の写真は数多くのメディアに取り上げられ、今でもたびたびバラエティ番組で紹介されるなど、話題にのぼっています。

盛山さんは当時をこう振り返りました。「ずっと汗をかいていてムシャクシャしていました。腰も痛く、腰がなくなったんじゃないかと思うくらいの激痛も。お腹がつっかえて、立ちながらズボンを履くこともできなかった」。

そんな盛山さんに、相方のリリーさんは「我ながら、当時はよくこんなのと組んだな、と(笑)。このふたりでお笑いが成功するわけない、と思っていました」と、冗談交じりに合いの手を入れます。
続けて盛山さんは、「体重は落ちるけど筋肉がほぼなくなって、リバウンドすると脂肪だけが増える」と、減量の難しさも明かしました。
さらに、電車や飛行機で「相手を不快にさせているのでは」と感じてしまうことや、ロケ番組ではおそろいの衣装のサイズがなく、自分だけ別の色になったことへの恥ずかしさなど、メンタル面での葛藤にも言及しました。

悪気はないと理解しながらも、「太った」という言葉に敏感になっているという盛山さんに、リリーさんが絶妙なタイミングで「太ったな」とボソリ。盛山さんは笑いながら「こういう邪悪な人間がいるんですよ!」とツッコむと、会場は笑いに包まれました。
専門医が語る「肥満」と「肥満症」の違い

肥満は一般的にBMI値が25以上の状態を指します。しかし、日本肥満症予防協会理事長の宮崎滋先生は、「肥満」と「肥満症」は異なる概念だと説明します。
宮崎先生は、「肥満症は治療可能な疾患」と定義。単に体重が多い状態ではなく、医学的に介入が必要なケースがあることを強調しました。
「肥満症」とは?

肥満症とは、BMI値に加えて脂質異常症や高血圧など、肥満に関連する11種類の健康障害のいずれかを合併する、または合併が予測される状態を指し、医師の管理のもとでの減量が必要とされる病態です。

肥満を放置すると、多くの臓器に影響を及ぼし、糖尿病や高血圧、慢性心不全など、200以上の健康障害と関連すると報告されています。
「自己責任」とされがちな現実

肥満症の発症には、生活習慣や環境因子だけでなく、遺伝的要因やホルモンバランスの乱れ、心理的因子などが複合的に関与します。
それにもかかわらず、肥満は「自己責任」と見なされがちです。
体重の増減やリバウンドに悩む盛山さんの話にもあったように、肥満を単なる「自己管理不足」や「甘え」として語ることは、偏見や差別につながりかねません。
宮崎先生は、「肥満を自己責任と決めつける風潮が、当事者をさらに追い詰めてしまう」と指摘しました。くわえて、本来は治療可能な疾患であるにもかかわらず、医療の対象ではないという誤った認識を生み、適切な治療の機会が奪われることにもつながります。「まずは正しい理解を広げることが大切です」と話しました。
7割が「自己責任」と回答 広がる誤解
3月4日の「世界肥満デー」にあわせ、日本イーライリリーと田辺ファーマは肥満症の正しい理解を広げる啓発活動を実施しました。

背景には、肥満が「自己責任」と捉えられがちな現状があります。両社が実施した調査では、一般生活者の約7割、医療従事者の6割強、当事者の約9割が「自己責任」と回答しました。こうした認識が相談や治療の機会を遠ざけているとして、「その肥満、肥満症かも?」プロジェクトを展開しています。

両社は、①肥満と肥満症は区別すべきであること、②肥満や肥満症を自己管理や意思の問題とする風潮があること、③肥満症は医療機関で相談できる疾患であること――の3点を強調しました。
また、本活動は特定医薬品の販売促進を目的としないことも明言しています。
正しい理解が治療への第一歩に

肥満症は、自己管理の有無だけで語れるものではありません。医学的な背景があり、医療機関で相談できる疾患であるという事実を、まずは社会全体が共有することが求められています。
「ひとりで抱え込まなくていい」。そうしたメッセージを、より多くの人に届けられるかどうかが今後の課題となりそうです。
<取材・撮影・文/櫻井れき>