中高生が「正解のない問い」に挑む! 探究学習の甲子園「クエストカップ2026」開催
2026年2月26、27日の2日間にわたり、立教大学池袋キャンパス・タッカーホールにて、日本最大級の探究学習の祭典「クエストカップ2026 全国大会」が開催されました。
21回目を迎えた本大会は、株式会社教育と探求社が提供する探究学習プログラム「クエストエデュケーション」を学ぶ生徒たちが、教室を飛び出し、自らのアイデアを社会へと解き放つ特別な舞台です。2022年度から高校で「総合的な探究の時間」が必修化されるなど、自ら課題を見つけ解決する力が求められる今、クエストカップはまさに「探究学習の甲子園」として、全国の中高生が情熱をぶつける聖地となっています。
今年のテーマは、「Wonder ― 驚き、感動、そして探求。」。
5部門・8プログラムにおいて、全国約10万人の中高生の中から選ばれた、29都道府県130校242チームが代表の座を勝ち取りました。驚くべきは、中学生と高校生が全く同じ土俵に立ち、年齢の壁を超えて本気で知恵を競い合うこと。今回は、ポジティブな熱気に包まれた大会最終日(27日・企業探究部門「コーポレートアクセスEグループ」)の模様をレポートします。
企業の心をつかんだ「精鋭7チーム」によるセカンドステージ
午前中に行われた「ファーストステージ」では、出場チームが各教室に分かれて企業の担当者へ直接プレゼンを敢行。数多くの強豪チームの中から、企業の心を最も動かし、見事「企業賞」を勝ち取った各社1チームずつが、午後からのセカンドステージへと駒を進めました。
壇上に上がったのは、以下の7チームです。
企業賞受賞チーム(Eグループ)
イオンリテール賞:桜丘高等学校(チーム名:イオン桜丘店)
いちご賞:トキワ松学園高等学校(チーム名:いちご大福)
キモノハーツ賞:奈良市立一条高等学校附属中学校(チーム名:coloré)
大和ハウス工業賞:京都市立西京高等学校附属中学校(チーム名:ちーむはなまる)
テクマトリックス賞:京都共栄学園高等学校(チーム名:夢現)
日清製粉グループ賞:明星中学校(チーム名:君の骨を食べたい)
パナソニック エナジー賞:山形県立致道館中学校(チーム名:LHBP)
セカンドステージで披露されたのは、大人の常識を鮮やかに飛び越える、斬新でフレッシュなアイデアばかりでした。
時には緻密なデータ分析で論理的に攻め、時にはユーモアたっぷりの寸劇やユニークなパフォーマンスを交えて会場を爆笑の渦に巻き込む。そんな自由奔放な表現スタイルに、観客席からは感嘆の声と惜しみない拍手が送られました。「社会を良くしたい」という純粋な熱意が、ユーモアや鋭い着眼点と混ざり合い、会場全体がこの上なくポジティブな空気に包まれていました。
運命の瞬間! グランプリ・準グランプリ発表
全てのプレゼンテーションが終了し、会場のボルテージが最高潮に達する中、いよいよ最終結果が発表されました。
2026年2月27日(Eグループ)のグランプリに輝いたのは、京都市立西京高等学校附属中学校(チーム名:ちーむはなまる)。そして、準グランプリには明星中学校(チーム名:君の骨を食べたい)が選出されました。中学生チームが並み居る高校生たちを抑えての最高賞ダブル受賞は、まさに「探究に学年や年齢は関係ない」ことを証明する結果となりました。
グランプリの「ちーむはなまる」からは、「大会までの期間に定期テストなどもあり、なかなか注力できないこともあったが、みんなであきらめずに協力してがんばってこれた。本当にうれしいです」と、困難を乗り越えた末の喜びの声が上がりました。

準グランプリの「君の骨を食べたい」の代表者は、「他のチームのプレゼンを見て勉強になった。この大会を通じて自信がついた。これからに活かしていきたい」と、自らの成長を力強く語りました。

講評として、審査員の安斎勇樹氏(MIMIGURI 代表取締役 Co-CEO・東京大学客員研究員)は「全体的にレベルが高く、審査が長引いた。断腸の思いで決めた」と選考の苦悩を明かしつつ、「全てのチームが企業やユーザーのニーズにきちんと寄り添いながら、予想のつかない意外性のある案を出していて驚かされた」と、10代が生み出す“Wonder”に舌を巻いていました。
ここから始まる、彼らの「探究」
今回の取材を通して、中高生たちの圧倒的なパワーを浴び続け、正直、大人である私たちも「負けていられない」と背筋が伸びる思いでした。会場のあちこちで生まれていた弾けるような笑顔、真剣な眼差し、そして学年の枠を超えて互いのアイデアをリスペクトし合う空気。クエストカップは、今の10代がどれほどクリエイティブで、ポジティブなエネルギーに満ちているかを教えてくれる最高の場でした。
同時に痛感したのは、ここが単なる発表会ではなく、未来の社会を自分たちの手で描き出す「はじまりの舞台」であるということです。これほどまでに中高生の「生きる力」を引き出し、社会と接続させる有意義な機会は他に類を見ません。「表舞台に立てなかった他の全チームのプレゼンも残さず見てみたい!」という知的好奇心が尽きないほど、どの提案も魅力に溢れていました。
これほど刺激的な祭典、年に一度きりの開催ではもったいないと感じてしまいます。たとえば年2回、あるいはもっと頻繁にこうした「問い」をぶつけ合える場へと拡大していけば、日本の景色はもっと早く、より良く変わっていくはずです。今回生まれた数々の“Wonder”が、ここからどのように社会へと芽吹いていくのか。彼らの探求の続きが、今から楽しみでなりません。