地域に根ざし、人を育て、家をつくる。福井工務店が描く“持続可能な建築会社”のかたち
建築会社として、注文住宅の設計施工、土地の分譲販売や仲介、不動産仲介、さらにリフォームやリノベーションなど、住宅にまつわることを手広く事業として行う有限会社福井工務店。注力してきた取り組みは若手人材採用や育成、地域貢献、顧客満足度の向上など多岐にわたる。取締役の福井開人氏に過去から現在にわたる軌跡、そして、未来の展望について伺った。
地域に密着した建築会社を目指して

当社の独自性は、自社で大工さんを抱えている点。一般的に注文住宅や土地を扱う同業他社では、デザインや設計のみを担うなど分業を主としています。一方、電気など設備関係以外の住宅に関わる主要な工事は当社で完結できる。いわば、ワンストップとも言い換えられるでしょう。そのような点を強みとして、日々事業を行っています。
独自の取り組みとしては地域貢献の観点から、小学生向けに夏休みの工作イベントを毎年開催しています。木工工作をメインとし、無料で参加いただけるものです。このイベントを行うきっかけとなったのは、建設業界をめぐる人手不足が要因となりました。
大工さんという仕事はやりがいがあり、収入も決して悪いものではない一方、ブルーカラーの固定観念から若い人材を集めることが難しかったのです。そのため、小さい頃から木に触れ、ものをつくるという体験を通し、子どもたちには将来の夢の選択肢に大工さんを入れてほしい。そのような想いから着想を得ました。

また、この取り組みには会社のPRという目的もありました。お子さまのいらっしゃる家庭であれば、住宅購入を検討されたり、実家のリフォームや相続などのお悩みも抱えている方もいらっしゃるかもしれない。そして、当社がそのお困りごと解決に貢献できるかもしれない。地域に根付いた取り組みを行うことで、事業にもいい影響をもたらすと考えた結果の一つが、工作イベントの開催だったのです。ありがたいことに、SNSで周知すると参加希望を多くいただき、約1週間ほどで枠が満席となる盛況ぶりを見せています。
仲間集めのキーワードは“大工への憧れ”
大工という仕事は楽しく、やりがいを感じられるもの。この信念の背景には、私の幼少期の原体験があります。祖父や父に道具の使い方を教わりながら、ものをつくることが非常に楽しかったのです。実際、小学生の頃には、私の木工作品が評価され賞を取ったこともありました。祖父や父の背中を見つづけ、かつ、実際にものづくりをさせてくれたことで建築業への楽しみや憧れをもつようになり、今に至ります。

一方、持続可能な業界にしていくためには、人材の採用や育成も不可欠。そこで、私はSNSを活用した採用活動を開始。2024年頃にはTikTokで投稿を行っていました。内容は、当時新人だった私が先輩から教わったことを動画にするというもの。私自身もアウトプットとして学びに役立つ上、他の方からは「ためになった」と評価していただく声もあったため、よい試みだったと今では思います。
そのような反響から若い方々が当社の門を叩き、採用につながったケースもあります。私が重視するのは大工や職人という仕事に憧れがあるかどうかという点。「大工になりたかった」「家を建てるのが夢」という想いが何より重要なのです。そのような人材が集まる発信活動をしてきたため、ミスマッチも少なく、皆日々努力して仕事にあたっています。

魅力ある住宅づくりで未来を紡ぐ
当社が今後も繫栄し、地域に貢献していくためには今までの取り組みに加え、顧客満足度の高い住宅製品をつくっていくことが鍵になると考えています。しかし、ただコストをかけてよいものをつくっても、お客さまの負担を考慮すると、適正価格以下で市場に出す企業努力が欠かせません。
私が理想とするのは“高性能×デザイン性の住宅を適正価格で届ける”こと。性能面では耐震性に加え、高気密高断熱を実現し、健康と快適性を追求。デザイン面ではル・コルジュビエが提唱した近代建築の五原則”に沿った、流行り廃りに流されない普遍的な美しさを実現すること。
この理想的なデザイン像を描くに至ったのは、東京浅草にオフィスを構えるデザイン設計事務所、株式会社4D/GROUNDWORK代表の塚本光輝さんとの出会いがきっかけです。約2年前、塚本氏のオンラインセミナーに参加し、その設計思想に感銘を受けました。今でも、塚本氏から空間デザインやインテリアデザインについて学び、自身のYouTubeチャンネルに出演していただくなど、深い交流が続いています。

とはいえ、高性能と理想的なデザインを両立するにはコストが高額になると考えられるでしょう。しかし、当社は創業60年という歴史をもつ会社。独自の仕入れルートや、メーカーや販売店との連携で仕入れコストを削減することに成功しました。実際、昨今では資材の値上げによる住宅価格の高騰が話題となりましたが、当社では住宅の仕様と販売価格を変えずに粗利率の向上を実現しました。
そうすることでお客さまの負担も減らすことが可能。住宅の価格を明瞭にすることで、今後も安心を提供できる魅力的な建築会社として事業に注力していきたいです。また人材についても、利益水準を保った経営を継続することで若手職人への給与として還元していく。お客さま、当社スタッフ、そして地域社会の“三方よし”の実現。今後も当社のみならず、業界や地域社会の持続可能性を追求し、前進してまいります。

有限会社福井工務店
https://www.fukuikoumuten.com
取締役 福井開人
立命館大学理工学部卒業。大学在学中に友人と「株式会社侍」を設立し、大手ゼネコンやディベロッパーの新卒採用向けのPRをメインに担当。その後、父親の経営する「有限会社福井工務店」の取締役に就任し、新たに不動産事業部を設立。現在は新規事業の運営や採用・育成に力を入れている。
・会社YouTube
https://www.youtube.com/@daiku-kaito
・会社Instagram
https://www.instagram.com/nara.fukuikoumuten/
・会社TikTok
https://www.tiktok.com/@kaito.daiku3