葬儀がオンラインでつながる メタバース霊園「風の霊」が新エリア拡大

アルファクラブ武蔵野株式会社は、メタバース霊園「風の霊」のエリア・サービス拡充にともない、説明会および体験会を、2月4日(水)にオンラインで開催。当日は、実際に開発中の「風の霊」にアバターで参加し、新たなエリアなどを体験することができた。

アルファクラブ武蔵野は創業から64年に渡り、埼玉県を中心に冠婚葬祭互助会事業を主軸に展開している。メタバース霊園「風の霊」は、縮小しつつある弔いの文化を、現代の生活や価値観に合わせた新しい形で継承するために考案されたサービス。

オープン後、約500世帯がメタバース霊園を利用し、2026年2月下旬には計画通りエリア・サービスの拡充が行われる。これにより、本格的な運用が始まる見込みだ。

今回拡充される新エリアは、実際の葬儀と連動し、リアルタイムでの参列や焼香を可能にする「バーチャルイベントスペース(斎場)」と、NFT化された区画により永続的な供養を実現する「メタバース霊園エリア」の2拠点。

同社代表取締役社長の和田浩明氏は、メタバース霊園開発の背景として、葬儀や供養のあり方そのものが大きな転換期を迎えていると語る。

新型コロナウイルス感染症の影響により、一般葬から家族葬への移行が進み、供養の場に立ち会う機会が減少。加えて、核家族化や少子高齢化を背景に、無縁墓の増加といった墓地を巡る課題も表面化しているという。こうした問題は、年間死亡者数がピークを迎えるとされる2040年に向け、さらに深刻化すると見ている。

こうした社会的変化を踏まえ、同社が新たな供養の選択肢として打ち出したのが、メタバース霊園「風の霊」だ。XR事業を手掛けるHIKKYと共同で2023年1月から開発を進めてきた。

和田氏は「『風の霊』は、パソコンやスマートフォンを通じて、時間や場所に縛られず故人を偲ぶことができる」とし、減少する供養の機会を補完する存在としての役割に期待を寄せている。

新たにオープンするイベントスペース「風ノ間」 では、実際の葬儀会館と連動し、葬儀のLIVE映像を通じて、現実の葬儀とメタバース空間をリアルタイムでつなぐ。家族葬の増加や、地理的・身体的理由により葬儀場での参列が難しい方でも、メタバース上から供養に参列することができる。

日本庭園をイメージした空間から葬儀会館を模したイベントスペースへと進み、映像や焼香機能を通じて、実際の葬儀に近い体験ができる。アバターを操作し「風ノ間」に入ると、会場ではLIVE映像が流れ、椅子に座って参列したり祭壇の前で焼香と献花もすることができる。こうしたアバターを通じた細かな所作によって、物理的には会場から離れていながらも、葬儀の場や故人とのつながりを意識できる印象を受けた。

もう一つの新エリアである「メタバース霊園エリア」は、中央にそびえる大樹が象徴的に配置され、その周囲に趣の異なる4つのエリアが展開している。利用者は好みのエリアからNFT化された区画を選択・購入し、専用の墓石を設置することで、メタバース空間上でのお墓参りが可能となる。

購入した区画は、現実世界の土地と同様に、将来的に価値が変動する可能性があり、利用者の判断で保有・活用・転売することも可能。 また、供物などもオンライン上で購入できるため、自宅にいながら故人を偲び、継続的な供養を行うことができ、供物もNFT化されているため、お墓参りに訪れたことを足跡として残せる。

こうした新エリアの導入により、「風の霊」は単なる仮想空間の霊園ではなく、実際の葬儀や供養と連動するサービスへと進化しつつある。

今回の体験会で初めて「風の霊」の空間に入ったので、従来からある「マイルーム」も訪れてみた。マイルームは利用者の思い出を集めておく場所として用意されていて、写真、動画、音楽といった思い出を飾ることができる。

今回の体験会では、故人やペットの思い出の写真などが飾られたマイルームが用意されていた。自宅からいつでもマイルームに訪れることができ、思い出の写真などを眺めて故人などを偲ぶことができる、自分だけの空間となっていた。マイルームでは弔問客同士での会話も可能となっている。

実際に体験してみると、「風の霊」は単なる仮想空間ではなく、故人を思い、向き合うための場として設計されていることが伝わってきた。参列や供養の形が多様化するなか、こうした取り組みは今後さらに広がっていくのかもしれない。