2025年を象徴する“行動者”たちが集結! 「Public of The Year 2025」授賞式レポート

株式会社PR TIMESは2025年12月2日(火)、ホテル椿山荘東京にて「Public of The Year 2025」授賞式を開催しました。

どんな社会変化も、最初はたった「1人の行動」から始まる――。
その年を象徴する人物とその行動を振り返り、称えることで「世の中を動かしているのは一人ひとりの行動だ」と誰もが実感できる社会を目指す。昨年2024年に創設され、今年で2回目の開催となるPublic of The Yearは、そんな想いが込められたアワードです。

「何を言ったか」ではなく「何をしたのか」。
行動こそがパブリックリレーションズ(PR)の根幹であると捉え、「社会を動かす」「社会をつなげる」「その年の社会の象徴」「社会的価値を生み出す」という4つの視点から選出された、2025年の象徴とも言える10組の受賞者たちが一堂に会しました。

豪華MCと各界を代表する審査員が集結

授賞式のMCを務めたのは、俳優の江口洋介さんと、フリーアナウンサーの中川安奈さん。江口さんは今回が初MCとのことで、「今年1年活躍した方がどんなメッセージをくれるのか、すごく楽しみです」と期待を寄せ、中川さんは「私もフリーになって激動の1年でした。ワクワクしながらお話を伺いたい」と会場を温めました。

また審査員には、日本経済団体連合会の久保田政一氏をはじめ、新聞・出版・テレビ・学術・スポーツの各界から計10名の第一人者が名を連ねました。

冒頭、主催者を代表して株式会社PR TIMES取締役の三島映拓氏が登壇。
「ニュースのヘッドラインを誰かの行動、誰かの活躍でいっぱいにしたい。そしてポジティブな循環によって社会を前へと進めていきたい」と、アワードに込めた熱い信念を語りました。

【企業・事業部門】社会課題に挑み、組織と地域を変革するリーダーたち

企業・事業部門では、建築、金融、社会活動の分野で変革を起こした3名が選出されました。

藤本壮介氏(建築家、藤本壮介建築設計事務所 代表取締役)

【受賞理由】
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のシンボル「大屋根リング」を設計。当初の設計から「多様性を分断につなげない」という強い意志のもと、世界のパビリオンを縁側の中に収めることで交流を生む場を創出。社会を包摂的につなぐ公共的価値を生み出した点が評価されました。

藤本氏は「あの万博を成功に導いたのは人の力。来場してあの場を体感した若い方々、子供たちがこの先の未来を作っていく。その原動力の一つになれたのなら嬉しい」と喜びを語りました。また、江口さんからの「理想に向けて突き動かした原動力は?」との問いに対し、藤本氏は「今、世界は分断が激しくなっている。万博という場で、多様な世界がそれでもつながることができる、共に未来を作れるというメッセージを発信できれば世界の希望になる」と、建築に込めた平和への願いを明かしました。

河合祐子氏(株式会社高知銀行 取締役頭取)

【受賞理由】
全国初の地方銀行女性頭取として、組織の垣根を取り払う対話を重ね、地方の社会問題改善へリーダーシップを発揮。これからの日本社会における女性のロールモデルとして、変革の先頭に立つ姿が評価されました。

「女性であるからこそいただけた賞だと思うが、私の野望はそこでは止まらない」と語る川井氏。「マイノリティが実績を積み重ね、ジェンダーなどの属性ではなく個々の実力が注目される、本当の意味でのダイバーシティが実現する日に向けて頑張りたい」と力強く宣言しました。リーダーとして大切にしたことを問われると、「一にも二にもコミュニケーション」と回答。「地域で何が起きているかを知るためには、私からも発信し、皆さんからも意見を伺うことが大事」と、対話の重要性を強調しました。

井田奈穂氏(一般社団法人あすには 代表理事)

【受賞理由】
選択的夫婦別姓について、署名活動や多団体との連携を通じて社会へ働きかけ続け、国民の意識変容と制度見直しの機運を高めた行動力が評価されました。

井田氏は「法改正がまだ道半ばですが、光栄です」と前置きしつつ、「自分の氏名を2度変えて辛い思いをしたことが原点。これは基本的人権の中の人格権であると気づいて行動を始めました。この問題を多くの方に知っていただくきっかけになれば」と、変わらぬ決意を語りました。

【学術・文化部門】常識を覆し、新たな価値と真実を追求する

学術・文化部門では、学問の創設、人権への戦い、文学の快挙を成し遂げた3名が表彰されました。

鈴木俊貴氏(動物言語学者 東京大学先端科学技術研究センター 准教授)

【受賞理由】
シジュウカラに言語能力を発見し、動物たちの言葉を解き明かす新しい学問「動物言語学」を創設。著書『動物たちは何をしゃべっているのか?』などを通じて、科学の面白さと新たな視点を社会に広めました。

受賞のきっかけとなった著書『僕には鳥の言葉がわかる』は、これまでの研究の集大成。鈴木氏は「この本のタイトルが当たり前になる未来に向けて、これからも研究とアウトリーチの両輪で頑張っていきたい」と、力強く抱負を語りました。

袴田ひで子氏

【受賞理由】
1966年の事件で逮捕された弟・巖さんの無実を信じ、半世紀以上にわたり支援活動を継続。2024年の再審無罪判決を勝ち取るまで、決して諦めず社会に訴え続けたその行動は、多くの人々に勇気を与えました。

58年という長い闘いを経て登壇した袴田さん。「巖が無罪にならなきゃしょうがない、死刑囚になんかされてたまるかという気持ちで戦ってまいりました」と当時を回顧。「33歳から笑いを忘れ、歌番組も見ず、社会から少し離れて生活していた」と壮絶な日々を明かしつつも、「今は私たちは大変幸せでございます」と笑顔を見せました。また、「冤罪で苦しんでいる方はまだ大勢いらっしゃいます。その方たちもお助けしなくてはいけない。共に戦っていきたい」と、自身の経験を糧に次なる支援への意欲を示しました。

王谷 晶氏(作家)

【受賞理由】
小説『ババヤガの夜』で、世界最高峰のミステリ文学賞・ダガー賞(翻訳部門)を日本人初受賞。曖昧で親密な人間関係を描く独自の作家性が、国境を越えて共感を呼びました。

【受賞コメント(手紙)】
当日は欠席となりましたが、王谷氏から寄せられた手紙が代読されました。

「行動というテーマですが、私は生来の怠け者で、努力や積極性とは遠いところで生きています」とユーモアを交えつつ、「作家として意識しているのは、見ること、読むこと、聞くこと。世の中にはまだ自分の知らないことが山のようにあると自覚し、まっさらな気持ちで見聞きすることを大切にしています」と、創作における真摯な姿勢を伝えました。

【芸能・スポーツ部門】逆境を跳ね返し、熱狂と感動を生んだ4組

芸能・スポーツ部門では、新しい価値観の提示、世界最高峰での挑戦、そして国民的キャラクターへと成長した4組が選出されました。

HANA氏(アーティスト)

【受賞理由】
オーディション番組「No No Girls」から誕生。多様な個性の尊重やルッキズムへの提言、「ありのままの自分を愛する」というメッセージを発信し、特に若い世代の価値観に大きな影響を与えました。

【受賞コメント(ビデオメッセージ)】
「オーディションを通じ、ありのままの自分を受け入れ愛すること、互いにリスペクトを持つことを学びました」と振り返ったHANA氏。「私たちの音楽を通して、誰かが自分を好きになれる瞬間を作れるよう、挑戦の過程を隠さずに見せることを大切にしていきたい」と、表現者としての決意を語りました。

遠藤航氏(プロサッカー選手)

【受賞理由】
サッカー日本代表キャプテンとしてチームを牽引し、世界最速でW杯出場権を獲得。所属するリバプールFCでも重要な役割を果たし、日本人が世界トップリーグで対等以上に渡り合えることを証明しました。

【受賞コメント(ビデオメッセージ)】
遠藤氏は「このアワードの『社会を動かしているのは一人ひとりの行動』というメッセージを、僕自身の挑戦し続ける姿勢で体現できたのではないかと感じています」とコメント。「自分の行動が、これから一歩踏み出す勇気を探している人の後押しになれば嬉しい」と、次なる挑戦者たちへエールを送りました。

村竹ラシッド氏(陸上競技選手)

【受賞理由】
男子110メートルハードルで日本新記録を樹立。東京世界陸上では表彰台に肉薄する走りを見せ、当たり前のことを高いレベルで実践する尊さと感動を日本中にもたらしました。

【受賞コメント(ビデオメッセージ)】
「目標であった12秒台での日本記録樹立を達成できましたが、満足はしていません」と語る村竹氏。今後の目標として「ロサンゼルスオリンピックでのメダル獲得」を掲げ、さらなる高みを目指す意欲を示しました。

ミャクミャク(大阪・関西万博公式キャラクター)/山下浩平氏(デザイナー・絵本作家)

【受賞理由】
当初の賛否両論を乗り越え、唯一無二のキャラクター性で人々の感情を揺さぶり、万博の「顔」として国民的な熱狂を生み出しました。デザイナーの山下氏が信念を持って積み重ねた「可愛くなる工夫」と地道な行動が評価されました。

この日、会場が一番の盛り上がりを見せたのは、芸能・スポーツ部門のトリを飾ったミャクミャクの登場シーンでした。デザイナーの山下浩平氏は欠席となりましたが、ミャクミャク本人がステージに現れると、会場からは「かわいい!」の声が。

プレゼンターを務めた審査員の西田二郎氏(未来のテレビを考える会代表理事)が「ミャクミャク」の発音のイントネーションを問いかけると、ミャクミャクは「ミャクミャクって呼んでくれると嬉しいな」と愛らしく返し、会場を和ませました。

山下氏からの手紙には、「一番魂を注いだことは、可愛くなる工夫でした。会場に来られた皆さまと一緒に育ててきたキャラクターだと思っています」と、生みの親としての深い愛情が綴られていました。これを聞いたミャクミャクも「山下さんからのお手紙、とっても嬉しいな。また一緒に遊ぼうね、約束だよ」と喜びを露わにしました。

MCの江口さんから「万博を通して世界中の人と仲良くなれましたか?」と問われると、ミャクミャクは元気いっぱいに回答。

「大好き、仲良くなりたいなって気持ちで触れ合ってると、みんなとすぐに友達になれるんだ。世界は多様でありながら一つっていうメッセージを感じてもらえたらいいな。今日から江口さんともお友達!」

これには江口さんも「お、嬉しいな。友達だね」と笑顔で応じ、ステージ上で新たな友情が芽生えました。最後にミャクミャクは「もっといろんな人とお友達になれるように言葉を勉強しているよ。みんなまたどこかで会おうね、See you!」とグローバルな挨拶で締めくくりました。

一人の行動が、次の行動を生み出す連鎖へ

授賞式の最後、MCの江口洋介さんは「一つ好きなことを貫いてきた情熱が、その人を動かし、結果として社会を動かしているのだと身をもって感じました。今日感じたエネルギーが、明日からの日常へと広がっていくことを願っています」と、初MCを振り返りながら感慨深げに語りました。

また、中川安奈アナウンサーも「受賞者の皆さんが示してくれた情熱は、私たちに行動の大切さと希望を教えてくれました。その感動が次なる行動者が灯す勇気の火種となり、永続的に続いていくことを願います」と締めくくりました。

「Public of The Year 2025」は、華やかなフォトセッションと共に幕を閉じました。ここで称えられた行動者たちの姿は、2026年以降の社会を動かす誰かの背中を、力強く押していくことでしょう。