生理のつらさは、みんな同じじゃない!ツムラ「違いを知ることからはじめよう展」が福岡で開催

福岡・天神の中心部にある福岡三越前のライオン広場で、10月16日(金)・17日(土)の2日間、株式会社ツムラによる企画展「違いを知ることからはじめよう展」が開催されました。

同展は、ツムラが展開する「#OneMoreChoice(ワンモアチョイス) プロジェクト」の一環として、生理やPMS(月経前症候群)の症状や感じ方の違いを知ってもらうことを目的としたものです。

会場は、天神駅からもアクセスしやすく、買い物客や通勤客など多くの人が行き交うエリア。そんな街の中心部に、生理やPMSをテーマにした大きな展示が設置されていることに、まず驚かされました。

実際に会場では、男性も女性も次々と足を止め、興味深そうに展示を眺める姿が見られます。普段、なかなか話題にしづらい生理やPMSのこと。しかし、誰もが行き交うオープンな場所だからこそ、これまで関心がなかった人も、ふと足を止めて考えるきっかけになるのかもしれません。

今回は、実際に会場を訪れ、展示の内容や体験を通して感じたこと、さらに主催者から聞いた来場者の反応などをレポートします。

生理やPMSのつらさを「見える化」する展示

会場には、生理やPMSによる不調をさまざまな角度から知ることができる展示が並んでいました。その一つが、生理やPMSに伴う症状が日常生活にどのような影響を与えるのかを紹介するコーナーです。

生理やPMSに伴う症状は、腹痛や頭痛などの身体的な不調だけではありません。眠気や疲労感、気分の落ち込み、イライラなど、その種類も程度も人によって異なります。

また、生理に伴うつらさは、生理中の数日間だけとは限りません。

PMSは、生理が始まる3〜10日ほど前から心身にさまざまな不調が現れ、生理が始まると症状が軽くなったり、なくなったりすることが特徴です。症状の種類や程度、現れる時期には個人差があります。

さらに、会場では一生における生理の平均日数が「3,192日」と紹介されていました。これは、約9年分に相当する日数です。人生の中でこれほど長い期間、生理と付き合っているのかと驚かされました。

もちろん、そのすべての人に不調があるわけではありません。しかし、生理前のPMSによる不調まで考えると、心身の変化と向き合う期間は、生理中の日数だけでは語れないことが分かります。

生理やPMSは、決して生理中の数日間だけの問題ではない。今回の展示を通して、そんなことを改めて考えさせられました。

重たい布団に、歪むパソコン画面。「いつも通り」が難しくなる体験

今回、特に印象に残ったのが「いつも通りにいかない部屋」という体験型の展示です。ここでは、生理やPMSによる不調が、普段の生活にどのような影響を及ぼすのかを疑似的に体験できます。

例えば、朝起きる場面を再現したコーナー。ここでは、生理の日の朝の身体の重さを表現するため、おもりのある掛け布団が用意されていました。普段なら何気なく起き上がれる朝も、体調によっては、布団から出ることさえ大変に感じることがあります。

また、仕事中の場面を再現したコーナーでは、パソコンの画面が歪んで見える仕掛けも。いつもなら当たり前にできる作業が、思うように進まない。そんな状況を体感できるようになっていました。

身体的に動きはないため大丈夫、と思われるデスクワークも、生理中の様々な症状により集中できない、頭がぼーっとしてしまうなど、様々な症状が現れます。このように、生理やPMSのつらさというと、どうしても身体的な「痛み」に注目しがちですが、実際には日常生活のさまざまな場面に影響が及ぶことがあります。

今回の展示は、そうした普段は周囲から見えにくい不調を、具体的に想像するきっかけになるものでした。

そのほかにも、倦怠感を感じることのできるおもりのついたコートなど、女性の生理の辛さが日常生活の中でどんな影響を及ぼすのかを感じられる体験がずらりと並んでいました

さらに会場には、生理痛のつらさを想像するきっかけとなる疑似体験装置もあり、希望者は体験することができます。特に、生理を経験しない男性や、普段生理痛のない方にとっては、自分とは異なる身体のつらさについて考える貴重な機会になるのではないでしょうか。

<写真右側のパッドを下腹部に装着し、電気刺激によって生理痛のつらさを疑似的に体験する装置。実際の生理痛を忠実に再現するものではありません。>

ただし、監修医のコメントによると、この装置は実際の生理痛を忠実に再現したものではないため、注意が必要です。(※全ての人が同じ痛みをもつわけではないため)そのため、つらさを想像するきっかけとして活用することが大切だと説明されていました。

同じ女性でも、生理のつらさは同じじゃない

もう一つ印象的だったのが、「こころの声が読めるマンガ」という展示です。

生理やPMSの症状は人によって違う。もちろん、頭では理解していたことですが、実際に展示を見てみると、その違いの大きさを改めて感じました。特に印象的だったのが、身体的な痛みだけでなく、PMSによる感情の変化にも焦点が当てられていたことです。

会場では、感情の変化をグラフで表現した展示もあり、気分の落ち込みやイライラなど、周囲からは気づかれにくい不調についても紹介されていました。

<生理痛の違いについて、漫画で説明したもの。同じ生理痛でも人によって、周囲にしてほしい対応も違うことがわかります>

さらに、芸能人や有名インフルエンサーの協力のもと「いつも通り」に見える写真の中に、本当はどんな本音が隠れているのか、その本音を聞くことができる展示コーナーもありました。

<右下のQRコードから、実際にこの写真を撮った時の裏側にある、心の本音(PMSや生理の辛さなど)を聞くことができます>

同じ女性であっても、自分が経験したことのない症状については、なかなか想像できないもの。「自分も経験しているから分かる」と思い込まず、相手の症状や感じ方を知ろうとすることが大切なのだと感じました。

「どう学べばいいか分からなかった」という人たちへの気づきの場になれば

今回の展示は、すでに東京・大阪でも開催されており、福岡では初めての開催になるとのこと。「これまで展示を訪れた人で、印象的だったエピソードはありますか?」と主催者へ取材してみたところ、女性の部下を持つ男性管理職のエピソードでした。

その男性は、部下がどのようなつらさを感じているのか知りたいという思いから、展示に足を運んだそうです。これまでは、生理やPMSについてどのように学べばよいのか分からず、女性の部下が抱える不調についても、十分に理解できていなかったといいます。

しかし、実際に展示を見たことで、部下が日常生活の中でどのようなつらさを感じているのか、以前よりも具体的に想像できるようになったそうです。また、別の男性管理職からは、これまで自分は女性の部下に十分な配慮ができていただろうかと、自身の行動を振り返る声も寄せられたとのこと。

一方で、女性の来場者からも、同じ女性だからといって、ほかの人の症状を十分に理解できていたわけではなかったという気づきがあったそうです。

このエピソードを聞いて印象的だったのは、男性管理職が、そもそも「どうやって学べばよいのか分からなかった」という点です。生理やPMSについて理解することが大切だと分かっていても、身近な人に直接聞くことは難しい場合もあります。

だからこそ、今回のように、気軽に、誰でも立ち寄れる場所で展示が開催されることには、大きな意味があるのではないでしょうか。生理を経験する人だけでなく、経験しない人にとっても、相手の不調について考えるきっかけになる。そんな展示の役割を感じました。

九州では約7割が「周囲の環境もつらさに影響する」と回答

会場では生理やPMSに関する意識調査の結果も紹介されていました。九州エリアの調査によると、「生理・PMSに伴うつらさは、症状自体だけでなく、周囲や環境によるものも含まれると思いますか?」という質問に対し、67.6%が「含まれると思う」と回答しています。

具体的な要因として挙げられたのは、「立ちっぱなしの仕事・学業」「こまめにトイレにいきにくい」「座りっぱなしの仕事・学業」など。

生理やPMSのつらさは、本人の身体の状態だけでなく、職場や学校などの環境によっても左右される可能性があることが分かります。

ツムラが社内でも取り組む「隠れ我慢」を減らす活動

こうした生理やPMSへの理解を広げるため、ツムラでは社内でもさまざまな取り組みを行っています。その一つが「#OneMoreChoice 研修」です。

この研修では、社員自身がどのような不調を抱えやすいのか、どんな場面で我慢してしまうのかを振り返りながら、我慢に代わる選択肢について考えます。

また、生理痛の疑似体験装置を活用した研修も実施しているそうです。主催者によると、体験した社員からは、生理痛によるつらさについて改めて考えるきっかけになったという声も寄せられているとのこと。

製薬企業で働く社員であっても、知識として理解することと、実際に体験して想像することには違いがあるようです。さらに、研修では現在の不調だけでなく、今後のライフステージで起こり得る変化について考えることも重視しています。

例えば、更年期による不調や、親の介護、家族の健康問題など。

今は元気に働いている人でも、将来、何らかの不調を抱える可能性があります。だからこそ、不調を我慢することを当たり前にするのではなく、制度を活用したり、周囲に相談したりできる環境を整えておくことが重要です。

ツムラでは、制度の整備に加えて管理職向けの研修も行い、社員が制度を利用しやすい環境づくりを進めているそうです。

違いを知ることから、会話が始まる

今回の展示を通して強く感じたのは、生理やPMSについて「知る機会」があることの大切さです。

生理痛のつらさは、言葉だけではなかなか伝わらないもの。特に、生理を経験しない男性にとっては、身近な女性がどのような不調を抱えているのか、具体的に想像することは難しいかもしれません。

だからこそ、今回のような体験型の展示を通して、家族やパートナー、職場の同僚など、身近な人のつらさについて考えるきっかけにしてほしいと感じました。

一方で、生理を経験する女性にとっても、新しい発見がある展示だと思います。

「こんなにつらいのは自分だけなのかな」と感じたり、反対に「自分はそこまでつらくないから、ほかの人も同じだろう」と考えてしまったり。

しかし、生理やPMSの症状は一人ひとり異なります。

自分のつらさを誰かと比べて我慢する必要はありませんし、自分の経験だけでほかの人のつらさを判断することもできません。

生理やPMSによるさまざまな不調があることを知り、自分自身の身体と向き合うとともに、周囲の人の感じ方にも目を向ける。

今回の展示は、そんな大切なことを改めて考える機会になりました。

男性も女性も、まずは違いを「知る」ことから。その小さなきっかけが、誰かの我慢を減らし、周囲の人と支え合える社会につながっていくのかもしれません。