人手不足という切実な危機を越境の力で打破する。真のグローバル化への道標

少子高齢化による慢性的な人手不足が、日本企業の屋台骨を揺るがしている。この構造的課題に対し、外国人材の登用と独自の海外マーケティング支援で企業の持続可能性を追求する企業がある。「日本ファンを増やす」という理念のもと、国境を越えた人材プラットフォームを構築する森永代表に、ビジネスの本質に迫る。
人手不足という切実な危機が、企業を越境へと駆り立てる

近年、外国人材の採用を成長戦略の現実的な選択肢として検討する企業が増加している。背景には「募集をかけても日本人の応募が来ない」という切実な人手不足がある。事業維持すら危ぶまれる構造的危機が、企業を新たな行動へと駆り立てている。
森永代表が外国人材紹介事業を立ち上げた原点も、まさにこの課題解決にある。新卒入社した川崎重工業での国内外のプロジェクトを通じて、優れた技術を持つ日本企業が人手不足で衰退していく姿を目の当たりにする一方、日本で技術を磨き、母国の家族を支えたいと願う優秀な外国人材が世界中にいる事実を知っていた。需要と供給のギャップを埋め、企業の存続と発展を支えたいという使命感が事業の原動力である。
初めて外国人を採用する際、多くの経営者は大きな不安を抱く。しかし、実際に迎え入れた企業は、彼らの真面目さと仕事への熱量に驚かされるという。明確な目的と責任感を持つ若い人材の姿勢は社内を活性化させ、「次も追加で採用したい」という評価へ直結している。労働力不足の解消にとどまらず、組織に新たな活力をもたらしているのである。
文化の壁を越える伴走支援と、常識を打破する徹底したローカライズ

外国人材の定着や海外展開において、多くの企業が「言葉さえ通じれば問題ない」という固定観念に陥りがちだ。しかし、早期離職やプロモーション失敗の根本原因は言語ではなく、文化やプラットフォームのミスマッチにある。日本特有のハイコンテクストな文化は、明確な言語化を求める外国人材との間に無意識の摩擦を生む。
この課題に対し、同社は20万人以上の人材データベースと、マルチリンガル社員によるきめ細やかなサポート体制を構築している。単に人材を紹介して終わらず、多国籍な自社スタッフが入社後も伴走し、母国語での定期面談を実施する。価値観や文化の違いを言語化し、「伝わらないストレス」を解消することで定着率を向上させている。ある介護施設では、このサポートで業務指導を見直した結果、外国人社員の不安が払拭され、追加採用に至る成果を上げた。
また、相手の目線に徹底して合わせる姿勢は海外PRにも活かされている。直訳に頼らず、現地の生活者が日常的に使用するSNSを的確に選定し、文脈に合わせた高度なローカライズを行うことで、企業の魅力を着実に届けているのだ。
人材網をマーケティング基盤へ。世界に日本ファンを増やす未来図
同社の事業展開は単なる人材紹介を超え、企業の海外進出を支援する「海外向け特化のSNS運用代行」へと拡張している。これは、世界各国の求職者を集客する過程で培った、多国籍向けのSNS発信や動画制作のノウハウを応用したものだ。各国の外国人に確実に届き、行動を促す発信の仕組みを、日本の製品やサービスを世界へ広めるために活用するという、論理的な事業展開である。
一般的な海外PRとは異なり、現地のトレンドを熟知した自社の外国人スタッフが企画からコンテンツ制作、広告配信まで一貫して担う。既存の20万人以上の人材基盤を活用することで、企業はゼロからコミュニティを立ち上げる手間を省き、迅速な市場参入が可能となる。実際に、中古フォークリフトや化粧品などの分野で現地の文脈に合わせた情報発信を行い、海外ユーザーからの問い合わせ獲得や輸出実績を積み上げている。
今後は、外国人材紹介で築いたネットワークと、海外向けマーケティング支援を深く融合させ、日本のビジネス基盤を支える総合的なグローバルプラットフォームの構築を目指す。企業が活力を取り戻し、世界市場へ羽ばたく連鎖が、社会インフラとしての新たな価値を創出していく。
企業のグローバル化に向けて、最初から完璧な体制を整える必要はない。目の前の人手不足という課題に対し、まずは相手の目線に立ち、自社の曖昧な指示を明確な言葉に落とし込むという小さな一歩が重要である。未知への不安を乗り越え、外国人材という新たな可能性とネットワークを活用することは、持続的な成長を遂げるための切り札となる。新時代を生き抜く強靭な組織の構築に向けた挑戦は、すでに始まっている。

■取材協力:
株式会社グローバークス
代表取締役 森永 健太
https://www.globarx.co.jp/