AIと暮らしが出会う3日間「TAIWAN EXPO JAPAN 2026」が新宿で開幕
技術展示会と聞くと、専門家や企業担当者が集まる少し難しい場所を思い浮かべる人もいるかもしれません。しかし、そこで紹介される技術をたどると、健康管理を支える測定器や災害現場で活躍するロボット、毎日の食卓を彩る食品など、私たちの暮らしに近い存在も数多くあります。最先端の技術が、生活の安心や便利さにどう結びついていくのか。実際に見て触れる機会は、未来を身近に感じる入口になりそうです。
台湾貿易センターは2026年7月15日(水)から17日(金)まで、東京・新宿住友ビル三角広場で「TAIWAN EXPO JAPAN 2026」を開催しました。台湾企業154社が出展し、AIやスマート製造、ヘルスケアから食、ライフスタイルまで、多彩な技術と製品を紹介する3日間です。開催初日の7月15日(水)にはオープン記念イベントが行われ、人とロボットによるダンスパフォーマンスが披露されました。さらに、俳優の高杉真宙さんも登壇。台湾の技術や製品を実際に体験し、その魅力を語るスペシャルトークイベントも開催されました。
テクノロジーとアートが彩った開幕のステージ

今回のテーマは「Innovate for Tomorrow(台日共創未来)」。会場の規模は2023年に開催された東京展から15%拡大し、人工知能(AI)、スマート製造、グリーンテクノロジー、ヘルスケアなどの重点分野が集まりました。
初日のオープニングセレモニーでは、台湾のダンサーで振付家の黄翊(ホアン・イー)さんが、人とロボットによるダンスパフォーマンス『墨』を披露しました。人のしなやかな動きと機械の精密な動きが同じ舞台で重なり、テクノロジーとアートのつながりを印象づける幕開けとなりました。
セレモニーには、日本台湾交流協会や台北駐日経済文化代表処、台湾貿易センターの関係者も登壇しました。半導体をはじめとする産業連携だけでなく、食文化や観光、日常生活まで含めた交流への期待が語られ、日台の協力が幅広い分野へ及んでいることを感じさせます。
高杉真宙さんが触れた台湾の技術と味覚

会場では、俳優の高杉真宙さんを迎えたスペシャルトークイベントも行われました。高杉さんが最初に体験したのは、台湾発の「益達筋肉測定器」です。加齢に伴う筋肉量の低下、いわゆるサルコペニアの早期発見を支える機器で、四肢の筋肉量や握力を短時間でまとめて測定できます。
普段から筋力トレーニングに取り組んでいるという高杉さんは、日常生活の中で自分の状態を意識できる点に共感。予防だけでなく、トレーニングの成果を確認する用途にも関心を寄せました。医療や介護の現場に限らず、一人ひとりが健康に目を向けるきっかけにもなりそうです。
続いて体験したのは、卡德爾(カデル)の「ロボット犬」でした。AIによる物体認識のデモでは、ロボットが捉えている映像が大画面に映し出され、高杉さんを人として認識する様子を紹介。サーモグラフィー機能を備え、暗闇や災害現場での活用も想定されていると知ると、高杉さんは「ペットとしても、災害で役立つロボットとしても安心できる存在ですね」とコメントしました。
初めてのタロイモケーキで深まる台湾への興味

技術体験のあとは、台湾の人気スイーツブランド・連珍(レンチン)の「タロイモケーキ」を試食しました。高杉さんにとってタロイモは初めての味だったそうですが、繊細な甘さと香りを楽しみ、日本の和菓子にも近い味わいだと笑顔を見せました。

台湾で挑戦したいことを尋ねられると、有名な朝食を食べてみたいと回答。イベントの最後には、台湾の魅力を実際に肌で感じたことで、さらに訪れてみたくなったと語りました。高度な技術だけでなく、食をはじめとする親しみやすい文化も一緒に紹介されることで、台湾という地域への関心が自然に深まっていくようです。
5つの産業テーマから見える暮らしの未来

日本で2回目の開催となる今回は、「AIスマート製造」「エネルギー・循環」「スマートシティ」「スマートヘルスケア」「FOOD・LIFESTYLE」という5つの産業テーマを設定。会場内の8つのパビリオンで、最新技術や生活に関わる製品を展示しています。
「台北スマートテックパビリオン」には、AI、情報通信技術、スマートヘルスケア分野を代表する台北市の企業10社が集まりました。DXや高齢者ケア、スマートシティに関する製品やソリューションが並び、来場者が台湾企業の技術を間近で確かめられる場となっています。
「AIスマート製造」では、専属MCが案内するツアーも実施。人を認識して会話し、巡回や運搬、介護支援などに対応する、全智通(アイオロスロボティクス)のAIサービスロボット「あいちゃん」をはじめ、さまざまな製品が紹介されました。工場の効率化にとどまらず、医療や介護、街づくりへと広がるAIの可能性が見えてきます。
“見る展示”から始まる日台の新しい接点
「TAIWAN EXPO」は2017年以降、世界10カ国16都市で41回開催され、台湾企業と各国のアイデア交流や協力関係を育む場となってきました。今回の東京会場にも、産業技術から健康、食文化まで、台湾の現在を知るための多様な入口が用意されています。専門的に見えるAIや半導体も、筋肉測定器やロボット犬、介護支援ロボットといった具体的な製品を通すことで、日々の安心や便利さにつながる技術として捉えやすくなります。製品を見るだけでなく、触れ、味わい、作り手の話を聞けることも展示会ならではの魅力です。身近な体験から生まれた関心が、日台の企業や人々による次の交流へつながるのか、今後も気になるところです。