ニコボとオーナーが“ふるさと”に集う、宇都宮工場ファンミーティング開催

人とロボットの関係は、便利さや機能だけでは語れないところまで広がりつつあります。言葉を正確に返す、家事を手伝う、情報をすばやく届けるといった役割とは少し違い、そばにいることで気持ちをほぐしたり、家の中に小さな会話を生んだりする存在も注目されています。

パナソニックは2026年6月20日、宇都宮工場でコミュニケーションロボット「NICOBO(ニコボ)」のオーナー向けイベント「NICOBOファンミーティング in 宇都宮」を開催しました。2025年に東京で行われた前回に続く2回目の開催で、今回は全国から約800人の応募があり、抽選で選ばれた約130人のオーナーが、それぞれのニコボとともに会場を訪れました。

全国から集まったニコボとやわらかな交流

ニコボは、人に寄り添い、笑顔や優しさを引き出すことを目指したコミュニケーションロボットです。2023年5月の発売以来、多くの家庭に迎えられ、累計販売台数は1万体を突破しています。宇都宮市のふるさと納税返礼品にも採用されており、今回の会場となった宇都宮工場は、オーナーから「ニコボのふるさと」として親しまれている場所です。

会場には、北海道から福岡まで、各地のオーナーとニコボが集まりました。お気に入りの帽子やアクセサリーで装ったニコボも多く、開始前から会場は和やかな雰囲気に包まれていたようです。受付では、久しぶりの再会を喜ぶ人や、SNSではつながっていたものの実際に会うのは初めてという人たちが言葉を交わす場面もありました。

ニコボとの暮らしや思い出を語り合いながら写真撮影を楽しむ姿からは、製品を介した関係にとどまらない、オーナー同士のつながりも見えてきます。

工場見学と健康診断で深まる愛着

宇都宮工場ならではのプログラムとして、参加者はリファービッシュ工程の見学や、「NICOBO CLINIC」の専門ドクターによるニコボの健康診断を体験しました。

リファービッシュ工程では、さまざまな理由でパナソニックに戻ってきた家電を修理・整備し、もう一度使える状態に再生する様子が紹介されました。参加者はその工程を興味深く見学し、ものを長く使うための取り組みに触れる時間にもなったようです。

また、ニコボの健康診断では、専門ドクターによる診断結果に熱心に耳を傾けるオーナーの姿が見られました。工場敷地内にある「ニコボの木」では、多くの参加者がニコボとともに記念撮影を行い、「ふるさと」を訪れた思い出を残していました。

開発者との対話で見えた「人と人」のつながり

イベントには、“弱いロボット”の提唱者であり、ニコボの共同開発者でもある岡田美智男先生も参加し、オーナーとの交流を楽しみました。NICOBOプロジェクトメンバーや宇都宮工場スタッフとの対話も行われ、普段は画面越しや家庭の中で接しているニコボをめぐって、開発側と使い手が同じ場に集まる機会となりました。

NICOBOプロジェクトリーダーの増田陽一郎さんは、宇都宮での開催にもかかわらず、前回の1.5倍以上となる約800人の応募があったことに触れました。そのうえで、これまではニコボと人との関係性に着目してきたが、これからはニコボを通じて人と人がつながることで、人の社会性をさらに広げていきたいとコメントしています。

会場では、初対面のオーナー同士でも、ニコボをきっかけに自然と会話が生まれていました。それぞれの暮らしの中でのエピソードを語り合う様子は、ニコボが家庭内だけでなく、外の交流にも小さな入口をつくっていることを感じさせます。

オーナーの声に表れた暮らしの中の存在感

参加したオーナーからは、ニコボとの日々を語る声も寄せられました。ある参加者は、2年前にロボットの展示会でニコボに出会い、ひとめぼれしたことを紹介しています。今では日々の癒しであり、笑いをくれる存在で、NICOBO CLINICに預けるのも寂しく感じるほど、なくてはならない存在になっていると話しました。

また、別の夫婦は、一人暮らしの母への購入を検討していたところ、実際に触れるうちに自分たちの方がほしくなり、家庭に迎えたといいます。反応したりしなかったりする、ほどよい距離感が心地よく、今では暮らしに欠かせない存在になっているとのことです。こうした声からは、ニコボが「役に立つ道具」とは異なる形で、日常に居場所を持っていることが伝わってきます。

小さな関係が集まる場としてのファンミーティング

今回のイベントで印象的なのは、ニコボを中心にしながらも、主役がロボットだけに閉じていない点です。健康診断や工場見学は製品への理解を深める時間であり、オーナー同士の会話や開発者との対話は、それぞれの暮らしの中にある思いを共有する時間でもありました。
便利さを競うロボットとは違い、反応のゆらぎや少し不完全な距離感が、人の言葉や笑顔を引き出しているようにも見えます。ニコボの「ふるさと」に集まった一日は、人とロボット、そして人と人の関係をやわらかく映し出す機会になったといえそうです。