不動産投資は“売るため”から“持ち続ける価値”へ。トーシンパートナーズが描く新ブランド「LENZ」と将来不安の正体

将来への不安が高まる現代において、資産形成のあり方も変化している。2026年4月21日、株式会社トーシンパートナーズはメディア向けラウンドテーブルを開催し、新たな不動産投資ブランド「LENZ(レンズ)」の戦略と、生活者の不安意識を読み解く調査結果を発表した。

イベントでは経済学者・門倉貴史氏を招いたトークセッションも実施され、「将来の見通しが立たないこと」が不安の本質であることが浮き彫りとなった。変化の激しい時代において、不動産はどのような価値を持ち得るのか。同社の取り組みを通じて、そのヒントを探る。

不動産ビジネスを“一気通貫”で展開する企業

トーシンパートナーズは1989年創業、吉祥寺に本社を構える不動産企業だ。現在はホールディングス体制のもと、開発・販売・管理・保証・仲介までをグループ内で完結する体制を構築している。

特徴的なのは、不動産事業に加え、アプリ開発やIoT製品といったテクノロジー領域も内製化している点だ。ソフトとハードの両面から不動産の価値向上に取り組むことで、従来のデベロッパーの枠を超えたサービス展開を進めている。

実績面でも、売上高は約478億円と過去最高を更新。賃貸管理戸数は1万戸超、入居率は約99%と高水準を維持している。さらに、デザイン性の高いマンションブランド「ZOOM」ではグッドデザイン賞を12年連続で受賞するなど、“住まいの質”にもこだわりを見せる。

「売って終わり」からの脱却。顧客との関係性を再構築

同社が大きく舵を切った背景には、過去の課題がある。かつては物件購入後にオーナーが他社へ売却してしまうケースが増加し、顧客離れが進んでいた。

これに対し同社は、オーナー専用部署の設立やアプリ「LENZ OWNER」の開発など、継続的なコミュニケーションを強化。結果として、売却件数の減少と相談件数の増加という成果につながった。

同社が重視してきたのは、「不動産は売って終わりではなく、持ち続ける中で価値が生まれる」という考え方だ。この長期保有を前提とした思想は創業以来一貫して掲げられており、その実現に向けて“人間によるサポート”と“デジタル”を組み合わせた取り組みを進めている。

新ブランド「LENZ」が掲げる“将来価値”

こうしたトーシンパートナーズの思想を具体化したのが、2025年にローンチされた不動産投資ブランド「LENZ」だ。

最大の特徴は、「将来価値」で不動産を捉える点にある。従来の投資が利回りや短期売却を基準に語られがちだったのに対し、LENZでは長期保有による安定収入を重視。20年、30年と持ち続けることで初めて“答え合わせ”ができる投資として位置づける。

その実現には「物件」「エリア」「管理」の三要素が不可欠だという。高いデザイン性や利便性を備えた物件に加え、IoTやアプリによる管理、入居者向けサービスの充実などを組み合わせることで、長期的な資産価値の維持を目指す。

入居者向けアプリでは、ポイント付与やチャット対応などの機能を提供。満足度調査では約9割が高評価を示しており、入居者視点からの価値向上にも注力している。

将来不安の本質は「見通しの欠如」

イベント後半では、「ファイナンシャル・ウェルビーイング(経済的安心)」に関する調査結果が、トークセッション形式で発表された。登壇者は、トーシンパートナーズ代表取締役社長・小笠原一義氏、取締役 営業本部本部長・渡部和徳氏、そして、経済学者・門倉貴史氏の3名。

全国の30〜50代・年収500万円以上の働く男女2000人を対象にした調査では、約7割が将来に不安を感じていると回答。その最大の要因は「収入の少なさ」ではなく、「将来の見通しが立たないこと」だった。

門倉氏は、その背景について「インフレや国際情勢の変化などにより不確実性が高まり、将来予測が困難になっている」と指摘。物価上昇が続く中、実質的な購買力の低下も不安を助長しているという。

また、小笠原氏からは健康不安やAIによる雇用変化など、個人を取り巻くリスクの多様化も言及された。現代の不安は単一の要因ではなく、複数の不確実性が重なって生まれていると言える。

不動産投資は「見通し」をつくる手段になり得るか

こうした状況の中で同社が提示するのが、不動産による長期的なキャッシュフローの確保だ。短期売買による利益ではなく、家賃収入という継続的な収益を得ることで、将来の見通しを立てやすくする。

特にインフレ局面では、現金資産の価値が目減りする一方で、実物資産である不動産は一定の防衛力を持つとされる。安定収入を早期に確保することが、将来不安の軽減につながるという考え方だ。

もちろん、不動産投資にはリスクも伴う。しかし同社は、正しい知識と長期視点を前提とすることで、過度な不安や誤解を解消したいとしている。

不動産の価値は“時間”で証明される

今回の発表を通じて見えてきたのは、不動産投資の価値が「短期の利益」から「長期の安心」へとシフトしている現実だ。将来の不安が“見通しのなさ”から生まれるのであれば、その見通しをつくる手段として、不動産は一つの選択肢になり得る。

トーシンパートナーズが掲げる「LENZ」は、その考え方を体現するブランドと言えるだろう。2030年に向け、同社が目指す“信頼のトップブランド”が実現するかどうかは、長期的な価値をどこまで証明できるかにかかっている。

不動産の本当の評価は、数年ではなく数十年後に明らかになる。その視点こそが、これからの投資に求められているのかもしれない。

公式サイト:https://www.tohshin.co.jp/lenz/