【第4回スケートボード日本オープン・パーク】男子は猪又湊哉が初制覇!女子は長谷川瑞穂が2度目の優勝

4月5日にアークタウン宇都宮スケートパークで、第4回スケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sportsパーク種目が開催され、男子は猪又湊哉(16歳)が初優勝を飾った。

ラスト4本目に93.97点の超高得点を叩き出し、逆転で頂点に立った。

13歳の乾瑠玖が、妙技バックフリップを武器に91.22点で準優勝。

3位は現在世界ランキング4位の、永原悠路(20歳)が入った。

女子の優勝は、現在世界ランキング首位を走る、長谷川瑞穂(15歳)が通算2度目の優勝(第2回以来)。

昨年10月の日本選手権を制し、今年3月のWST(ワールドスケートボーディングツアー)でも準優勝を飾るなど、絶好調の長谷川がロス五輪へ向けて弾みをつけた。

準優勝はオリジナルトリックが冴え渡った、貝原あさひ(19歳)。

続いて、東京オリンピック4位の岡本碧優(19歳)が3位で表彰台入りした。

今大会は2026、2027年度ワールドスケートジャパン強化指定候補選手の選考対象大会となり、内訳は以下の通り。

・昨年の秋に開催された第8回日本選手権と、今大会が2026年度の強化指定候補選手の選考対象大会。

・今大会と、今年秋に開催される第9回日本選手権が、2027年度の強化指定候補選手の選考対象大会。

これらの大会結果がワールドスケートジャパンランキングに反映される。

今大会のみ特例で2026、2027年度の両方に反映されるとあって、2028年のロサンゼルスオリンピックを目指す選手にとっては、超重要な大会となっている。

【ロス五輪への道】

・ロサンゼルスオリンピックに出場するには、WST(ワールドスケートボーディングツアー)でポイントを重ね、ワールドスケートランキング上位に入ることが必須となる。

 

・オリンピック予選フェーズ1(2026年6月11日から2028年3月31日)。

今年6月のワールドカップ、ローマ大会を皮切りに始まるWSTフェーズ1に出場し、各種目、男女44人のみが進めるフェーズ2に進出する必要がある。

フェーズ1に出場できるのは各種目、国の代表3人と、ワールドスケートランキングの上位30人。

※ただし、フェーズ1から各種目1カ国6人までの縛りがあり、選手層が分厚すぎるストリート種目は上位30位以内であっても、フェーズ1に進めない選手が出てくる。

※ワールドスケートランキングは、過去18カ月間のWSTのポイントが反映される。

 

・オリンピック予選フェーズ2(2028年4月1日から2028年6月11日)。

各種目の男女44人のみがフェーズ2に進み、ロサンゼルスオリンピックへの出場権を争う。

 

・ロサンゼルスオリンピックには、ストリート・パークの各種目22人が出場できる。

ただし1カ国最大3人まで、各大陸から最低でも1人、開催国からも最低1人、さらにユニバーサル枠が1人設けられている。

だいたいパリオリンピック予選の時と同じ流れになっているが、パリの時と大きく違うのはフェーズ1から各種目につき、各国6人までの縛りがあることと、フェーズ2の存在が初めから告知されていること。

パリオリンピック予選の時は、五輪開催前年の2023年12月のストリート世界選手権の決勝中に突如、それまでとは大幅に獲得ポイントが変わるフェーズ2開催の発表があり、ポイントがそれまでの大会とは桁違いということもあって、いろんな意味で話題になった。

【パーク種目のルール】

パーク種目は45秒間コース内を自由に滑りながら技を披露するランを3本行い、決勝ではラン3本を終えた時点で、上位5人が4本目のラン(ゴールデンラン)を行い、その内のベストランで順位が決まる

トリックを失敗した時点で試技は中断され、それまでに決めたトリックの結果が採点される。

というわけで、ここからは上位3選手のベストランを紹介。

【進化形540を決めた/長谷川瑞穂】

©WSJ

予選は4位、準決勝をトップで決勝に進んだ、長谷川瑞穂。

2本目のランで、ノーズグラブ540やキックフリップインディなどで81.08点の滑りを見せると、続く3本目のランでさらなる高難度トリックを見せる。

©WSJ

以下、長谷川瑞穂のラン3本目。

いきなりディープエンドで、驚異のジュードー540(空中で前足をデッキから外して1回転半)を決めると、レインボーレールをインディグラブで飛び越え、オーリーアップからのバックサイドテールスライド、キックフリップインディ、さらに高難度のフロントサイドのキックフリップインディをメイク。

その後もミスなく滑り続け、レインボーレールでバックサイドボードスライド、バックサイドフィーブルグラインド フェイキーからハーフキャブオーリーをフルメイク。

88.80点を獲得すると、他の追随を許さず、2度目の日本オープン優勝を飾った。

【スタイルマスター/貝原あさひ】

©WSJ

予選は9位、準決勝3位で決勝へ駒を進めた、貝原あさひ。

ラン1本目から、高さとスタイル全開のマドンナや、ノーズグラインドtoディザスターなどで78.27点の滑りを見せて好発進。

迎えた3本目では、80点台に届く素晴らしいランを見せる。

©WSJ

以下、貝原あさひのラン3本目。

ボルケーノをキックフリップインディで越えると、マドンナで会場にテール音を響かせると、フロントサイドテールスライド、ジュードーエア アップからのテールスライドを決める。

続いて、フロントサイドノーズグラインドtoディザスター、バックサイドエア、ノーリーフロントサイドディザスターを決めると、レインボーレールでバックサイドボードスライド、フロントサイドノーズブラント、バックサイドフィーブルグラインド フェイキーをフルメイク。

世界最高峰のスタイルが入ったランを見せ、80.74点を獲得して準優勝に輝いた。

【540のパイオニア/岡本碧優】

「岡本碧優&菅原芽依」 ©WSJ

予選は8位、準決勝を2位で決勝進出を決めた、岡本碧優。

ラン2本目で、大技を組み込んだ素晴らしい滑りを見せる。

©WSJ

以下、岡本碧優のラン2本目。

ディープエンドでミュート(ウェドル)540を決めると、ステイルフィッシュ、フロントサイドエア、さらにデッキを横に180度回転させるバリアルを決める。

その後もエアとグラインドトリックで繋いでいくと、最後はレインボーレールをバックサイドフィーブルグラインドで仕留めてフルメイク(80.33点)。

3本目、4本目はフルメイクすることができなかったが、昨年10月の日本選手権(2位)に続き、3位で表彰台入りした。

女性で初めて540を決めた先駆者でもある岡本、WSTでの活躍にも期待したい。

【ドン底からの大逆転/猪又湊哉】

©WSJ

予選を5位、準決勝は3位で決勝に駒を進めた、猪又湊哉。

バリアルキックフリップ540を立て続けに失敗してしまい、2本のランを終えた時点で、決勝最下位。

上位5人のみが進めるゴールデンラン(4本目)を滑るために、なんとしてでもフルメイクが欲しい3本目に89.54点を叩き出し、ラン3本目を終えた時点で4位につけて、4本目のランに臨む。

©WSJ

以下、猪又湊哉のラン4本目。

誰よりも高さのあるステイルフィッシュ、そしてフロントサイドエア、ディープエンドでのバリアルキックフリップ540とヒールフリップインディのコンボ。

ボルケーノ越えのバリアルキックフリップ、オーリーアップからのバックサイドリップスライド、アーリーウープのフロントサイドオーリー。

レインボーレールでフロントサイド5-0グラインド、続いてバックサイド50-50。

オーリーアップから全流しのフロントサイド50-50グラインドから、コーナーをフロントサイドノーズグラインド、ラストはキックフリップインディをフルメイク。

流れるような高難度トリックの数々への驚きはスコアにも反映され、得点93.97点!

優勝インタビューでは「次のイタリア(WST)でいい結果を出す」と話し、今大会を締めくくった。

【妙技バックフリップ/乾瑠玖】

©WSJ

予選は11位、準決勝をトップで決勝進出を決めた13歳の乾瑠玖。

1本目のランからフロントサイドキックフリップ メロングラブやキックフリップインディ、独特な大技バックフリップ(後方宙返り)などを決めると、87.96点を獲得。

2本目のランではさらに難易度を上げたランを見せ、大台の90.00点を叩き出し、暫定2位でゴールデンラン(4本目)に臨む。

©WSJ

以下、乾瑠玖のラン4本目。

ディープエンドでジュードーエアから、フロントサイドのキックフリップメロン、続いてステイルフィッシュエア、アーリーウープのキックフリップインディと、立て続けにエアトリックを決める。

さらにフロントサイド50-50グラインドから、オーリーアップのフロントサイド5-0グラインド、キックフリップインディからバックサイド540。

ここで勢いをつけ、ボルケーノについたレインボーレール越えのバックフリップ!

残り10秒で、オーリーアップからバックサイドリップスライド、バックサイドスミスグラインド、レインボーレールでフロントサイドノーズグラインドを決めると、ラストはディープエンドでバックフリップ フェイキーを完璧にメイク。

猪又のスコアを上回ることはできなかったが、91.22点を獲得し、自身のスコアをさらに伸ばして準優勝となった。

【世界が憧れる滑り/永原悠路】

©WSJ

予選はトップ通過、準決勝を5位で決勝に進んだ永原悠路。

2本目のランで、フルメイクの滑りを見せる。

©WSJ

以下、永原悠路のラン2本目。

ロールインから勢いよくコースに入ると、高さのあるキックフリップインディからフロントサイドオーリーでトランスファーテールバッシュ。

続いてフロントサイドフィーブルグラインド、オーリーアップのフロントサイドテールスライド、ディープエンドでバックサイド540、アーリーウープのフロントサイドエア。

さらにオーリーアップから、コーナーを大きく使ったバックサイドリップスライド、フロントサイドのキックフリップメロン、バックサイドロックンロールスライドでフェイキースタンスを取ると、キャバレリアルディザスター。

最後はキックフリップインディ フェイキーから、レインボーレールでハーフキャブボードスライドをフルメイク。

スキルはもとより、高さとスピードを兼ね備えた滑りを見せると、90.36点をマーク。

その後はフルメイクの滑りができなかったが、3位で今大会を終えた。

【日本が誇る応援団】

日本オープンや、日本選手権などを取材で訪れていつも思うことがある。

パーク種目はとにかく歓声がすごい!

お客さんの歓声はもちろんだが、選手同士も互いの成功を喜び合う。さらに、ご家族や保護者も自分の子どもだけでなく、他の選手にも大きな声援を送る。

スケートボードのスキルだけでなく、最高に素晴らしい日本のスケート文化が根付いていることに、いつも感銘を受ける。

熱量全開で盛り上げて選手をさらに熱くさせ、会場全体が一体となって盛り上がるこの空気こそが、選手たちの力をさらに引き出しているようにも感じる。

日本から世界で通用する選手が次々と生まれている背景には、こうした土壌の存在もあるのだろう。

【第4回スケートボード日本オープン・男子パーク結果】

1位 猪又 湊哉(16)-93.97【17.04/11.94/89.54/93.97】

2位 乾 瑠玖(13)-91.22【87.96/90.00/14.75/91.22】

3位 永原 悠路(20)-90.36【36.04/90.36/8.11/35.97】

4位 西川 有生(12)-89.70【2.29/88.42/89.70/3.34】

5位 志治 群青(14)-83.47【60.60/83.47/10.13/26.89】

6位 永原 依弦(14)-80.18【63.33/80.18/14.00/0.00】

7位 三竹 陽大(13)-27.70【27.20/13.30/10.22/0.00】

8位 天野 太陽(18)-20.11【5.04/17.74/20.11/0.00】

※【】内はスコア内訳

【第4回スケートボード日本オープン・女子パーク結果】

1位 長谷川 瑞穂(15)-88.80【34.29/81.08/88.80/15.24】

2位 貝原 あさひ(19)-80.74【78.27/2.81/80.74/2.45】

3位 岡本 碧優(19)-80.33【59.40/80.33/27.55/29.99】

4位 佐竹 晃(13)-79.76【60.01/26.64/79.76/8.47】

5位 菅原 芽依(18)-75.84【2.83/73.20/75.84/39.57】

6位 河合 珠佳(14)-74.16【10.10/69.57/74.16/0.00】

7位 溝手 優月(19)-71.18【28.67/3.91/71.18/0.00】

8位 小川 希花(25)-19.66【14.97/16.31/19.66/0.00】

 

表彰の写真と文 小嶋勝美 スケートボード放送作家

トリック写真 ©ワールドスケートジャパン